国鉄485系電車は、1960年代から2000年代にかけて日本国有鉄道(国鉄)及びJRグループで活躍した交流直流両用特急形電車です。
異なる電化方式の区間を直通運転するという特徴から「走る変電所」とも呼ばれ、北海道から九州まで全国各地で活躍しました。
2022年12月の「リゾートやまどり」廃車により形式消滅するまで、約半世紀にわたり日本の鉄道を支えてきました。
今回は、そんな485系電車に関する知識を問う21問のクイズをお届けします。
1. 485系電車はどのような目的で開発された電車でしょうか?
- 新幹線の開業に向けた試作電車として
- 異電源方式区間への直通運転のため
- 特急列車の高速化のため
答え:2. 異電源方式区間への直通運転のため
解説:
485系電車は、直流電化区間と交流電化区間の両方を走行できる交流直流両用特急形電車として開発されました。国鉄は1950年代半ば以降、地方線区の電化では地上設備の低廉性などから交流電化を推進し、各地に直流電化方式との接続点となるデッドセクションが生じていました。特急列車の運転区間が地方線区に拡大されたことで、こうした異電源方式区間への直通運転要求に応えるために製造されました。
解説:
485系電車は、直流電化区間と交流電化区間の両方を走行できる交流直流両用特急形電車として開発されました。国鉄は1950年代半ば以降、地方線区の電化では地上設備の低廉性などから交流電化を推進し、各地に直流電化方式との接続点となるデッドセクションが生じていました。特急列車の運転区間が地方線区に拡大されたことで、こうした異電源方式区間への直通運転要求に応えるために製造されました。
2. 485系電車の前に登場した交流直流両用電車はどれでしょうか?
- 451系電車
- 151系電車
- 153系電車
答え:1. 451系電車
解説:
交直流電車では急行型の451系が、1962年10月1日より上野 – 仙台間急行「みやぎの」で運転を開始しました。特急型交直流電車は当初151系電車を交直流仕様にした車両を新製投入することが検討されていましたが、後に方針が変わり、新たに481系・483系・485系が開発されました。
解説:
交直流電車では急行型の451系が、1962年10月1日より上野 – 仙台間急行「みやぎの」で運転を開始しました。特急型交直流電車は当初151系電車を交直流仕様にした車両を新製投入することが検討されていましたが、後に方針が変わり、新たに481系・483系・485系が開発されました。
3. 最初に製造された交流直流両用特急形電車である481系電車は、どの地域向けに製造されたでしょうか?
- 東北方面
- 北陸・九州方面
- 北海道方面
答え:2. 北陸・九州方面
解説:
1964年(昭和39年)から関西対北陸・九州向け特急用に直流/交流60 Hz対応の481系電車が製造されました。翌1965年から関東対東北用に直流/交流 50 Hz対応の483系電車が製造され、1968年からは交流の周波数が50 Hz・60 Hz両対応となった485系電車が製造されるようになりました。
解説:
1964年(昭和39年)から関西対北陸・九州向け特急用に直流/交流60 Hz対応の481系電車が製造されました。翌1965年から関東対東北用に直流/交流 50 Hz対応の483系電車が製造され、1968年からは交流の周波数が50 Hz・60 Hz両対応となった485系電車が製造されるようになりました。
4. 485系電車が「走る変電所」と呼ばれた理由は何でしょうか?
- 車両自体が発電機能を持っていたから
- 3電源(直流・交流50Hz・交流60Hz)に対応していたから
- 車両が巨大な変電設備を備えていたから
答え:2. 3電源(直流・交流50Hz・交流60Hz)に対応していたから
解説:
485系電車は交流の周波数が50 Hz・60 Hz両用のTM14主変圧器を搭載し、直流区間を含めて3電源対応となったことから「走る変電所」とも通称されました。全国どこの電化区間でも走行できる機能を持っていたことがこの愛称の由来です。
解説:
485系電車は交流の周波数が50 Hz・60 Hz両用のTM14主変圧器を搭載し、直流区間を含めて3電源対応となったことから「走る変電所」とも通称されました。全国どこの電化区間でも走行できる機能を持っていたことがこの愛称の由来です。
5. 485系電車の最高運転速度は時速何kmだったでしょうか?
- 100 km/h
- 120 km/h
- 130 km/h
答え:2. 120 km/h
解説:
485系電車の最高運転速度は120 km/hとされました。主電動機は定格出力120 kWのMT54系直流直巻電動機を特急形電車としては初めて搭載し、歯車比を22:77(1:3.50)とすることで、MT比1:1組成でも20 ‰程度の勾配を登坂可能となりました。なお、JR時代の一部区間(湖西線など)では130 km/h運転も実施されていました。
解説:
485系電車の最高運転速度は120 km/hとされました。主電動機は定格出力120 kWのMT54系直流直巻電動機を特急形電車としては初めて搭載し、歯車比を22:77(1:3.50)とすることで、MT比1:1組成でも20 ‰程度の勾配を登坂可能となりました。なお、JR時代の一部区間(湖西線など)では130 km/h運転も実施されていました。
6. 485系電車が製造された期間はいつからいつまででしょうか?
- 1964年~1973年
- 1968年~1979年
- 1972年~1987年
答え:2. 1968年~1979年
解説:
485系電車は1968年に登場し、1979年(昭和54年)まで製造が行われました。ただし、485系の前身となる481系は1964年から、483系は1965年から製造が始まっており、485系はこれらを統合発展させた形で登場しました。なお、本文ではおおよそ初期型(1968年-1972年)、中期型(1972年-1973年)、後期型(1974年-)の3期に分類されています。
解説:
485系電車は1968年に登場し、1979年(昭和54年)まで製造が行われました。ただし、485系の前身となる481系は1964年から、483系は1965年から製造が始まっており、485系はこれらを統合発展させた形で登場しました。なお、本文ではおおよそ初期型(1968年-1972年)、中期型(1972年-1973年)、後期型(1974年-)の3期に分類されています。
7. 485系電車は、最初から何系統の電源に対応していたでしょうか?
- 1系統(直流1500V)
- 2系統(直流1500Vと交流20000V)
- 3系統(直流1500V、交流20000V 50Hz、交流20000V 60Hz)
答え:3. 3系統(直流1500V、交流20000V 50Hz、交流20000V 60Hz)
解説:
485系電車は登場当初から直流1500V、交流20000V 50Hz、交流20000V 60Hzの3系統の電源に対応していました。それ以前の481系は直流/交流60Hz対応、483系は直流/交流50Hz対応でしたが、1968年に全国で使用可能な50・60 Hz両用の主変圧器が開発されたことで、481系・483系を統合した3電源対応版として485系が登場しました。
解説:
485系電車は登場当初から直流1500V、交流20000V 50Hz、交流20000V 60Hzの3系統の電源に対応していました。それ以前の481系は直流/交流60Hz対応、483系は直流/交流50Hz対応でしたが、1968年に全国で使用可能な50・60 Hz両用の主変圧器が開発されたことで、481系・483系を統合した3電源対応版として485系が登場しました。
8. 485系電車の先頭車デザインで、中期型(1972年-1973年)から採用された大きな変更点は何でしょうか?
- 前面貫通構造の採用
- 丸型の前照灯の採用
- 流線型フロントの採用
答え:1. 前面貫通構造の採用
解説:
1972年10月の羽越本線新津 – 秋田間電化で日本海縦貫線特急「白鳥」「いなほ」電車化用に投入された62両以降は、同年6月に登場した直流特急形の183系に準じた前面貫通構造の採用と冷房装置の変更などの設計変更が行われました。これにより、将来的な電車特急の分割・併合運転に対応できるようになりました。
解説:
1972年10月の羽越本線新津 – 秋田間電化で日本海縦貫線特急「白鳥」「いなほ」電車化用に投入された62両以降は、同年6月に登場した直流特急形の183系に準じた前面貫通構造の採用と冷房装置の変更などの設計変更が行われました。これにより、将来的な電車特急の分割・併合運転に対応できるようになりました。
9. 485系の先頭車がボンネット型から前面貫通型に変更された後、さらに設計が変更されましたが、その理由として最も適切なものはどれでしょうか?
- 貫通扉からの隙間風や運転台スペースが狭いなどの課題があった
- 新幹線の連絡特急としての使用が決まったため
- 電力消費を抑えるためのデザイン変更が必要だった
答え:1. 貫通扉からの隙間風や運転台スペースが狭いなどの課題があった
解説:
1972年より増備されていた485系200番台は前面貫通構造が採用されていましたが、貫通扉からの隙間風侵入や運転台スペースが狭いなどの課題がありました。また、同時期新製の183系では普通席に簡易リクライニングシートが採用されていたことから、485系においても前面非貫通化や座席の簡易リクライニング化などの改良を加えた増備車として、485系300番台が1974年に登場しました。
解説:
1972年より増備されていた485系200番台は前面貫通構造が採用されていましたが、貫通扉からの隙間風侵入や運転台スペースが狭いなどの課題がありました。また、同時期新製の183系では普通席に簡易リクライニングシートが採用されていたことから、485系においても前面非貫通化や座席の簡易リクライニング化などの改良を加えた増備車として、485系300番台が1974年に登場しました。
10. 485系電車の制御方式はどのようなものだったでしょうか?
- チョッパ制御方式
- 抵抗制御方式
- VVVF制御方式
答え:2. 抵抗制御方式
解説:
485系電車の制御方式は、直流電化区間では架線電源をそのまま使用し、交流電化区間では変圧器で降圧後に整流器で直流にする401系・421系からの一貫した間接式の機器構成を踏襲したMM’ユニット方式による抵抗制御を採用していました。
解説:
485系電車の制御方式は、直流電化区間では架線電源をそのまま使用し、交流電化区間では変圧器で降圧後に整流器で直流にする401系・421系からの一貫した間接式の機器構成を踏襲したMM’ユニット方式による抵抗制御を採用していました。
11. 485系電車の主電動機として採用されたのは何でしょうか?
- MT46系直流直巻電動機
- MT54系直流直巻電動機
- MT60系直流直巻電動機
答え:2. MT54系直流直巻電動機
解説:
485系電車の主電動機は、定格出力120 kWのMT54系直流直巻電動機を特急形電車としては初めて搭載しました。歯車比を22:77(1:3.50)とすることで、MT比1:1組成でも20 ‰程度の勾配を登坂可能となり、経済性が向上しました。
解説:
485系電車の主電動機は、定格出力120 kWのMT54系直流直巻電動機を特急形電車としては初めて搭載しました。歯車比を22:77(1:3.50)とすることで、MT比1:1組成でも20 ‰程度の勾配を登坂可能となり、経済性が向上しました。
12. 485系電車の最後の定期運用終了日はいつでしょうか?
- 2015年3月14日
- 2017年3月3日
- 2022年12月11日
答え:2. 2017年3月3日
解説:
485系電車は2000年代に入ると後継車両への置き換えや老朽化に伴う廃車が進行し、2017年3月3日に全ての定期運用を終了しました。なお、2022年12月11日に最後まで残っていた「リゾートやまどり」編成が退役し同月28日付で廃車され、これをもって485系は形式消滅しました。
解説:
485系電車は2000年代に入ると後継車両への置き換えや老朽化に伴う廃車が進行し、2017年3月3日に全ての定期運用を終了しました。なお、2022年12月11日に最後まで残っていた「リゾートやまどり」編成が退役し同月28日付で廃車され、これをもって485系は形式消滅しました。
13. 485系電車が北海道から一度撤退した理由は何でしょうか?
- 北海道では需要が少なかったため
- 冬期の極寒と乾燥度の高い雪による故障が頻発したため
- 維持費が高くついたため
答え:2. 冬期の極寒と乾燥度の高い雪による故障が頻発したため
解説:
北海道にも投入された485系でしたが、同地の冬期の極寒と乾燥度の高い雪による故障が頻発し、道内専用形式781系と交代する形で撤退しました。なお、その後、青函トンネル開業に伴う乗り入れで道内運用は復活しています。
解説:
北海道にも投入された485系でしたが、同地の冬期の極寒と乾燥度の高い雪による故障が頻発し、道内専用形式781系と交代する形で撤退しました。なお、その後、青函トンネル開業に伴う乗り入れで道内運用は復活しています。
14. 485系電車を最後まで保有していたJRグループの会社はどこでしょうか?
- JR東日本
- JR西日本
- JR東日本とJR西日本
答え:1. JR東日本
解説:
485系電車は2022年12月11日、最後まで残っていたJR東日本の「リゾートやまどり」編成が退役し同月28日付で廃車され、これをもって485系は形式消滅しました。形式消滅直前は、JR東日本だけが485系を保有していました。
解説:
485系電車は2022年12月11日、最後まで残っていたJR東日本の「リゾートやまどり」編成が退役し同月28日付で廃車され、これをもって485系は形式消滅しました。形式消滅直前は、JR東日本だけが485系を保有していました。
15. 485系電車の初期型(1968年-1972年)が投入された特急列車の路線として正しいものはどれでしょうか?
- 東海道本線「ひかり」
- 奥羽本線「やまばと」・磐越西線「あいづ」
- 山陽本線「こだま」
答え:2. 奥羽本線「やまばと」・磐越西線「あいづ」
解説:
485系電車の初期型は、1968年10月の「ヨンサントオ」改正向けに投入され、奥羽本線特急「やまばと」・磐越西線特急「あいづ」の電車化に活躍しました。板谷峠急勾配区間でのMT比2:1の確保と、磐越西線でのホーム有効長の問題から、食堂車と1等車を同時連結した6M3Tの9両編成が用いられました。
解説:
485系電車の初期型は、1968年10月の「ヨンサントオ」改正向けに投入され、奥羽本線特急「やまばと」・磐越西線特急「あいづ」の電車化に活躍しました。板谷峠急勾配区間でのMT比2:1の確保と、磐越西線でのホーム有効長の問題から、食堂車と1等車を同時連結した6M3Tの9両編成が用いられました。
16. 485系電車の電源セレクタ(交直切換装置)はどこに設置されていたでしょうか?
- 制御車(クハ・クロ)
- 電動車(モハ)
- グリーン車(サロ)
答え:1. 制御車(クハ・クロ)
解説:
東北特急は所要時間短縮のために交直地上切換方式の駅である黒磯駅を通過するため、制御車(クハ・クロ)に交直車上切換用選別子が設置されました。これにより、停車せずに電源区間の切り替えが可能となりました。
解説:
東北特急は所要時間短縮のために交直地上切換方式の駅である黒磯駅を通過するため、制御車(クハ・クロ)に交直車上切換用選別子が設置されました。これにより、停車せずに電源区間の切り替えが可能となりました。
17. 485系電車のパンタグラフは当初何基搭載されていたでしょうか?
- 1基
- 2基
- 3基
答え:2. 2基
解説:
パンタグラフは、設計段階でBT饋電方式の交直・交交セクション通過時トラブルを懸念して1基搭載案がありましたが、直流区間では離線対策から2基搭載使用となりました。国鉄末期以降は、130 km/h運転を実施していた湖西線を除いて、架線の損耗減少対策から原則として第2パンタグラフを使用中止もしくは撤去しています。
解説:
パンタグラフは、設計段階でBT饋電方式の交直・交交セクション通過時トラブルを懸念して1基搭載案がありましたが、直流区間では離線対策から2基搭載使用となりました。国鉄末期以降は、130 km/h運転を実施していた湖西線を除いて、架線の損耗減少対策から原則として第2パンタグラフを使用中止もしくは撤去しています。
18. 485系電車でジョイフルトレインに改造された車両があるのは何年代からでしょうか?
- 1970年代
- 1980年代
- 1990年代
答え:3. 1990年代
解説:
485系電車は1987年の国鉄分割民営化時には、JR北海道・JR東日本・JR西日本・JR九州に継承され、1990年代以降はジョイフルトレインへの改造車も登場しました。「リゾートやまどり」などの観光列車として新たな活躍の場を得ました。
解説:
485系電車は1987年の国鉄分割民営化時には、JR北海道・JR東日本・JR西日本・JR九州に継承され、1990年代以降はジョイフルトレインへの改造車も登場しました。「リゾートやまどり」などの観光列車として新たな活躍の場を得ました。
19. 485系電車が最後に形式消滅したのはいつでしょうか?
- 2017年3月3日
- 2020年3月14日
- 2022年12月28日
答え:3. 2022年12月28日
解説:
2022年12月11日、最後まで残っていた「リゾートやまどり」編成が退役し同月28日付で廃車され、これをもって485系は形式消滅しました。2017年3月3日には全ての定期運用を終了していましたが、その後も観光列車などとして一部の車両が残っていました。
解説:
2022年12月11日、最後まで残っていた「リゾートやまどり」編成が退役し同月28日付で廃車され、これをもって485系は形式消滅しました。2017年3月3日には全ての定期運用を終了していましたが、その後も観光列車などとして一部の車両が残っていました。
20. 485系電車の食堂車はどの車種だったでしょうか?
- サロ481形
- サシ481形
- サハ481形
答え:2. サシ481形
解説:
485系電車の食堂車は「サシ481形」でした。調理用電熱器による電力消費量を確保するため、食堂車のサシ481形は自車給電用として定格容量70 kVAのMGを床下に搭載していました。サシ481形73 – 76(及び同時期のサシ489形)をもって食堂車の製造は終了し、以後は既存車両の改造転用で賄われました。
解説:
485系電車の食堂車は「サシ481形」でした。調理用電熱器による電力消費量を確保するため、食堂車のサシ481形は自車給電用として定格容量70 kVAのMGを床下に搭載していました。サシ481形73 – 76(及び同時期のサシ489形)をもって食堂車の製造は終了し、以後は既存車両の改造転用で賄われました。
21. 485系電車の車体に使用された材質として正しいものはどれでしょうか?
- ステンレス鋼
- アルミ合金
- 高張力鋼
答え:3. 高張力鋼
解説:
485系電車の車体は耐候性に優れる高張力鋼が採用され、車内の天井板はメラミン化粧板が使用されました。客用側扉はステンレス化され、戸袋部にレールヒーターが設置されています。
解説:
485系電車の車体は耐候性に優れる高張力鋼が採用され、車内の天井板はメラミン化粧板が使用されました。客用側扉はステンレス化され、戸袋部にレールヒーターが設置されています。
まとめ
21問の3択クイズに挑戦していただき、ありがとうございました!
485系電車に関する知識を深める良い機会になったのではないでしょうか?
485系はすでに現役を引退しましたが、その活躍は鉄道ファンの記憶に深く刻まれています。
博物館で保存されている車両や、鉄道イベント、模型などを通じて、今後も485系の魅力に触れることができます。
今回のクイズで得た知識を活かして、これからも鉄道の歴史を深く楽しんでいただければ幸いです!